自律神経失調症の基礎知識。具体的な症状から改善方法などについて

2020年2月5日


多くの現代人が患っていると言われている「自律神経失調症」。簡単に言うと身体の「自動調整機能」に異変をきたしている”状態”のことです。


あくまで身体の”状態”を指す言葉であり、「うつ病」などの病気とは若干異なります。


自律神経失調症の症状は非常に多岐にわたっています。


体の不調はあるのに病院では「異常なし」の診断を受けてしまい、原因がわからないことでさらに悩んでしまう方も多いようです。


今回の記事では「自律神経失調症」について、その症状及び改善策等について書かせていただきたいと思います。

(1)そもそも「自律神経」とは?


そもそも「自律神経」とはどのようなものなのでしょうか。


まず、神経は大きく「中枢神経」「末梢神経」に分けることができます。


・中枢神経 = 脳及び脊髄の総称

・末梢神経 = 中枢神経から伸びる全身の神経網


さらに、末梢神経は「体性神経」「自律神経」に分けられます。


「体性神経」は視覚や聴覚などの“感覚“を脳に伝える「知覚神経」や、筋肉に運動を命令する「運動神経」の総称でして、私たちはその神経の働きや存在を“意識“することが可能なものであると言えます。


一方で、「自律神経」は“無意識“のうちに働く神経です。内臓や血管を支配する神経でして、その働きは血液循環、呼吸、消化や吸収、排泄、免疫、代謝、内分泌など、非常に多くの役割を担っているのが自律神経ということになります。


上記の機能を果たすため、自律神経は人体を流れるすべての血管に沿って走り、24時間休みなく働き続けます。これだけでも、自律神経が私たちの体にとって、非常に重要な役割を担っていることがお分かりいただけるかと思います。

(2)「自律神経失調症」とは?


自律神経のことを理解した上で、その自律神経に異常をきたす「自律神経失調症」とはどういったものなのでしょうか。


まず、自律神経失調症には4つのタイプがあります。


本態性自律神経失調症・・・幼少時からの体質そのものに原因があるもの

神経症型自律神経失調症・・・精神的ストレスなど、心理的な影響を受けやすいもの

心身症型自律神経失調症・・・日常生活のストレスが原因のもの

抑うつ型自律神経失調症・・・心身症型の症状が進行し、「うつ症状」が見られるもの


それぞれのタイプにより特徴はありますが、根本的な原因は同じです。


自律神経失調症の大きな原因は、簡単に言うと、「”交感神経”と”副交感神経”のバランスを乱すこと」であると言われています。


”交感神経”と”副交感神経”にはそれぞれ様々な役割がありますが、かなり大雑把に分けるとこんな感じです。


交感神経 = 体を活発な状態にする

副交感神経 = 体をリラックスした状態にする


交感神経は「昼間」の活動時間に活発に働き、逆に副交感神経は「夜間に活発となることでリラックスした睡眠を促します。


「昼間に活動し、夜に休息をする」という人間のライフサイクルを正常に行えるような仕組みとなっているのが自律神経の”本来の形”と言えます。


この2つの神経バランスは日々変動していまして、どちらか一方だけの働きが高い時、または両方の働きが高い(もしくは低い)時があります。


身体のコンディションとしてもっとも望ましいとされるのが交感神経、副交感神経の両方が高い時でして、逆に両方とも低い時には優れたパフォーマンスは望めないとされています。


2つの神経の働きを、ある程度高い位置で均等に保つのが望ましいなか、自律神経失調症の場合、交感神経が高く、副交感神経が低い状態にあることが多いようです。


副交感神経が低いとどうなるのでしょうか。


まずは2つの神経が「血管」にもたらす影響を見てみましょう。


交感神経 = 血管を収縮させる

副交感神経 = 血管を弛緩させる


自律神経のバランスが取れている場合、血管の”収縮”と”弛緩”の調整が図られますので、スムーズな血流を生み出します。


血管は収縮し過ぎても、弛緩し過ぎても、いずれの場合であっても血流は悪くなります。


・過剰な収縮 = 血管が狭過ぎて血液が流れにくい

・過剰な弛緩 = 血管が広過ぎて圧力がかからず、血液が流れにくい


どちら”過剰”であっても望ましい状態ではありませんが、特に悪影響を及ぼすのが「交感神経が過剰に優位な状態(=血管が過剰に収縮している状態)」です。


血管が収縮し細くなることで、血液中の赤血球や白血球、血小板などが“血管の内壁を構成する細胞(=血管内皮細胞)“を傷つけ、血栓になりやすいようです。


血栓は脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因となります。


身体中の血流が滞ることで、全身に酸素や栄養を供給することができなくなり、それにより不調が生じることとなります。


次に、「筋肉」です。交感神経が優位な状態は常に“緊張状態“が続くことになり、全身の筋肉が固まってしまいます。


これにより、消化器系や呼吸器系などの内臓がうまく機能しなくなるようです。


体の内部の「血管」や「筋肉」の働きが正常に機能しなくなることで、様々な症状を発症してしまうのが「自律神経失調症」であり、その改善策としては副交感神経の働きを向上させ、交感神経と均衡を図る必要があるということです。


なお、この副交感神経が急降下する年齢があるようでして、男性は30歳、女性は40歳を過ぎたあたりがこの時期にあたるようです。


つまり、誰しもが自律神経失調症を発症しやすいタイミングを持っていることになりますので、まだ症状がない方にとっても”未然”の対策は必要なのかもしれません。

(3)具体的な症状について


次に、自律神経失調症の具体的な症状について、列挙させていただきます。


不眠(入眠困難、中途覚醒、早期覚醒)

頭痛(偏頭痛、緊張型頭痛、大後頭神経痛)

動悸、不整脈(期外収縮)

発汗(体の一部)

手足の冷え

目まい(浮動性めまい、回転性めまい、起立性低血圧)

胃の不調(胸やけ、満腹感、食欲不振)

腸の不調(下痢、便秘)

肩こり、腰痛

喉の違和感(飲み込めない、つっかえる)


こうして見ると、日常生活で私たちが感じる体の不調のほとんどが網羅されています。


これらの症状をひとつも感じたことがないなんて方は恐らくいらっしゃらないのではないでしょうか。


このほか、季節や気温などの気候の変化に弱い目がまぶしく感じることがある、といいうのも自律神経失調症が原因であることが多いようです。

(4)改善策及び予防策について


ここからは自律神経失調症の改善策について書かせていただきます。


まず、ここで紹介する改善策ですが、簡単に日常生活に取り入れられるものが多いです。


しかし一方で、人によりその効果には差があり、成果が見えにくい分、継続するのが難しいという側面もあります。


自律神経失調症の改善には「体質、生活環境、意識」などを整える必要があります。


いずれも長い時間をかけなければ簡単には変わらないものばかりですので、可能な限り多くの改善策を日常に取り入れ、継続することを目指しましょう。

◎日常生活における”小さな心がけ”


深呼吸

人は緊張したり、心に余裕がなくなると「浅く、速い呼吸」になります。


日頃から「気付いた時に深呼吸」を心がけることで副交感神経を活性化させ、また、酸素をたくさん取り込むことにより血流を増加する効果もあります。


姿勢

悪い姿勢は「内臓の圧迫」や、「筋肉の硬直」につながります。


一般的によく言われる”猫背”はもちろんのこと、スマホ依存やデスクワークによる姿勢の悪さも自律神経失調症と密接な関係にあるそうです。


「背中」の骨と「首」の骨はまっすぐに。市販の矯正ベルトなどのサポーターを使用するのもいいかもしれません。

***スマホの通知アプリの活用***

こういった”小さな心がけ”は簡単に実践できる反面、意識しないと継続が難しいという側面もあります。そうした中で私が実際に活用しているのが”スマホアプリの通知機能”です。


私が使っているのは「Momentum」というアプリでして、有料版であればいくらでも「習慣」を登録することができます。


例えば「深呼吸、姿勢の確認を2時間に1度 通知」ということができますので、それを合図に行う習慣とすれば、仕事中でも忘れずに実践可能です。


是非、お試しください。


◎趣味嗜好の”がまん”


カフェインや塩分の節制

コーヒーを飲むと頭がスッキリし活発になることから、日頃からよく飲まれるビジネスマンは多いと思います。


カフェインには交感神経を活発化させる働きがありますので、過剰な摂取は自律神経の乱れを引き起こします。


また、塩分の過剰摂取は腎臓に負担をかけることとなり、それにより血圧が上昇し、血流の悪化を招きます。


外食やカップラーメンなどの塩分を多く含んだ食事が頻繁な方は、少し控えた方がいいかもしれません。


寝る前のスマホやテレビ

スマホやテレビから発せられるブルーライトには、「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌を”抑制”する効果があります。


また、この光は交感神経を刺激し興奮状態にすることから、睡眠の質の低下を招きます。


寝る前の「1時間」はスマホやテレビの使用をがまんし、良質な睡眠を目指しましょう。


◎自律神経を整える”積極的なアクション”


運動(有酸素運動、ストレッチ)

適度な運動は筋肉の硬直をやわらげますので、効果的です。


ジョギングやウォーキング、サイクリングや水泳などの有酸素運動は、自律神経を整えるのに高い効果が期待できるようです。


なかなか時間がとれず難しいという方は、日頃の生活の中で階段を積極的に使う、少しの距離であれば歩くなど、生活に取り入れやすいものから始めてみましょう。


また、仕事の合間や就寝前のストレッチも効果的なようです。筋肉が固まってしまったと感じる部分を伸ばすのと同時に、深呼吸も併せて行えばリラックス効果も期待できます。


水分補給

一日に必要な水分量は2.3〜2.5リットル程度とされています。


そのうち食物からとれる水分が20〜30%程度とされていることから、およそ1.5リットルの水分を飲み物で補給する必要があります。


水分不足は内臓の働きを低下させ、また、血流の悪化を招くことから、水分補給を十分に行うことが自律神経の調整につながります。


「1.5リットルのペットボトルを1日1本」と考えると多いと感じますよね。意識して摂取する必要があると思います。


体内時計を整える

自律神経を正常に働かせるためには「良質な睡眠」は欠かせません。


睡眠の質を向上させる方法のひとつとして、体内時計(サーカディアンリズム)の調整があります。


「毎晩決まった時間に就寝し、毎朝決まった時間に起床し、太陽光を浴びる」


これにより生活リズムが調整されます。


また、太陽の光を浴びることは生活リズムの調整以外にも”ある効果”があります。


先ほども書いたとおり、良質な睡眠には「メラトニン」というホルモンが必要となりますが、実はそのメラトニンの分泌に欠かせないのが「セロトニン」というホルモンです。


セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質でして、これを昼間分泌することにより夜間のメラトニン分泌を助けます。


そして何を隠そう、太陽の光を目から浴びることにより分泌されるのがセロトニンなのです。


また、セロトニンの分泌に必要な栄養素、「トリプトファン」、「ビタミンB6」、「炭水化物」といった3つの栄養素すべてを兼ね備えているのが「バナナ」です。


朝食にバナナを取り入れることでも、体内時計の調整に一役買ってくれることでしょう。


◎ストレスと上手に付き合う”意識改革”


自律神経失調症を患っている方の多くが、仕事や人間関係の”ストレス”や”悩み”を抱えて生活しているそうです。


この”ストレス”や”悩み”とどう向き合うかですが、色々な本を読んだ結果、共通して言えるのは「ストレスや悩みの”種”を解決するのに必死になるのではなく、あきらめることが重要」だと感じました。


頑張らない

完璧主義を捨てる

ネガティブな思考を捨て、楽観的に考える


もちろん、多くのビジネスシーンでは否定さがちな考え方であると思いますが、自律神経を乱した状態においては大切な”意識改革”であると考えます。


自律神経失調症は「うつ病」の併発だけでなく、免疫力の低下により「がん」の発症も招きかねないとされています。


最優先すべきは”自分の身体と生活”です。


この”意識改革”ですが、おそらく、今までご紹介した改善策のなかでも最も抽象的で、生活に取り入れるのが難しい方法かと思います。


ただし、自分のものにできた時は非常に有効な改善策になり得ると思いますので、是非参考にしてみてください。


◎専門医の治療、カウンセリング


ここまでいろいろな改善策をご紹介してきました。


ご自身で生活習慣の改善に取り組むことももちろん大事ですが、手遅れになる前に一度専門医を訪ねることをおすすめします。


どんな病気にも言えることですが、早期の対応が非常に重要だと、私は考えています。

(5)まとめ


いかがでしたでしょうか。


自律神経失調症は現代人にとってほとんどの方が患っているのかもしれません。


仮にその症状を”ゼロ”にすることはできなくても、ほんの少しの改善が将来的にはとても大きな”豊かさ”に繋がる可能性が高いと、私は思っています。


自律神経失調症の改善には”時間”と”労力”を費やします。


時には挫折しそうになることもあると思いますが、とにかく、小さな努力の積み重ねが大切です。


「人生100年時代」と言われる今だからこそ、自分の身体を大切にする意識はより強く持ち続けていたいものです。





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。